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No.026 1億円の負債を2年で返済
2019年02月25日


以前のコラムでも紹介しましたが、私は今から12年ほど前に、多額の負債を背負ったことがあります。きっかけはリーマンショック。取引先が倒産し、5000万円もの手形の回収不能を2期連続で経験し、総額1億円の被害を負うことになりました。

それまでも手形の不渡りに遭ったことは何度かありましたが、今回のケースは額があまりに大きいものでした。そしてピンチというのは重ねて襲ってくるもので、親戚とのトラブル、社員の横領など、このころはとにかくトラブル続きで、倒産の二文字が頭をよぎったこともありました。
帝国データバンクには、債務超過の企業として社名が記載され、その結果、銀行からは融資を断られ、債務超過の噂を聞きつけた関係者からの問い合わせも殺到しました。

金銭的にも厳しかったのですが、なにより私にダメージを与えたのは、人です。
これまで私やトップテクノを評価してくれていた人の中に、「トップテクノはもうだめだ」と、手のひらを返したような態度に変わった人、少なからずいたからです。
中でも取引額がそれほどでもなく、交流もそれほどない、つまり私や会社のことを深く知らない取引先が、あたかも当社のことをよく知っているように、マイナスの噂話を広げているのは心底腹が立ちました。債務超過ということで、犯罪者のように扱う人までいました。

ただ、そうはいってもお金は返さなければいけません。最初のころは、あれこれとお金の算段をしていました。でも考えれば考えるほど、どうにかやり繰りして返せる額ではないなと思い至りました。そこで私は原点に返り、自らの手で稼ごうと決め、現場に復帰することを決意したのです。
現場に出るのは10年ぶりでしたから、正直、不安もありました。でも、そんなことを言っている余裕はありません。駆け出しのころを思い出し、とにかくがむしゃらに汗水垂らして工事に没頭し、稼ぐしかないと意気込んでいました。

絶対に譲れないポリシーがある

スーツから一転、作業着姿に変わりましたが、私の気持ちが折れることはありませんでした。「たかが1億ぐらいの負債で自分の生き方やポリシーを変えるつもりはない」と自然と考えていました。

だからいつもトラックはピカピカでしたし、作業着も常に新しいものを着ていました。ふだん乗る車も変わらず高級車でしたし、社長たちの集まりにも変わらず顔を出して、見た目や生活も含め、これまでと変わらない立ち振舞いでいました。お金が必要だからといって、自宅や高級車を売りに出すような考えは一切ありませんでした。

支払いを待ってもらう相手にも、何度も頭を下げるようなことはしませんでした。「絶対に返すから待ってくれ」と、一言だけ。私のことを知っている人であれば、この言葉で十分だと思ったからです。実際、そのとおりでした。私のことをよく知る多くの協力会社が二つ返事で、支払いの延期を承諾してくれたのです。

一方で私の中で変化したこともあります。それはゴルフをしなくなったことです。代わりというわけではありませんが、釣りをするようになりました。
実は前から、釣り好きの社長さんから「お前もやらないか」と誘われていたのですが、まったく興味がなく、断っていたのです。でもなぜかそのときは「行ってみようかな」と思いました。私の厳しい状況を知っているはずなのに、まったく負債の話題などには触れない、その社長さんの人柄に依るところも大きかったのだと思います。

“釣り”が心のモヤモヤは晴らしてくれた

早朝4時ごろ、まだ暗いうちに港を出港し、漁場に向かいます。漁船には他の釣り人もいますが、会話することはありません。携帯電話も圏外のため使えない。大海原を突き進む漁船のエンジン音、船が海を切り裂いていく波や風の音。海から飛んでくる大量のしぶき。過酷な自然の中に身を置くことが、落ち込んでいた私の心を次第に癒してくれたのだと思います。

具体的に何がよかったのか、うまく説明できませんが、きっと何も考えられない状況が知らずに心を癒やしてくれたのだと思います。仕事をしていると「本当に返済できるのだろうか」と見えない未来に不安になったり、あれこれ誹謗中傷される状況に、さすがの私でも心が折れそうになることがありましたから。

ピンチから学んだこと

結局、2年で負債は返済しました。人生初といっていいほどの大ピンチでしたが、会社や自分を成長させる良い機会だったと今では感じています。

まずは人です。先ほど話したように、うわべだけで付き合ってきた人たちとの縁をきっぱりと切ることができました。本当に信頼し合える人間や取引先だけが残ったので、これは今でも大切な財産です。

もうひとつは経営者としての資質が高まったことです。不渡りを背負ったころの当社は上場を目指していたこともあり、とにかく売上拡大を掲げていました。その結果、売上は伸びましたが、経営の中身、利益という部分ではそれほどでもなかったのです。

これは私がピンチをきっかけに改めて経営、特にお金や数字について学び直したことで見えてきたことでもあります。以前は利益率の低い案件でも、やれる仕事はどんどん受注していましたが、そのような経営スタイルでは、不渡りを出す会社を見抜けなかったのです。

しかし今は違います。その頃とくらべて売上は減りましたが、しっかりと利益を取れる案件しか受注しない体制に変えたのです。そしてすべての数字を私が目を通すようにもなりました。したがって私のキャパでは現在の売上規模が精一杯。さらに売上を伸ばそうとするなら、CFOなどを雇う必要があると考えています。ですが、おそらくそれはしないと思います。これは後のコラムで話しますが、私には別の考え、新たな野望があるからです……。









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